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企業インタビュー
吉川 正悟さん (吉川紙商事株式会社)

ビジネス街への変化を肯定するが、さみしさも感じる

京橋が創業の地ですね。

いまでも登記上の本社は京橋2丁目です。明治42年に祖父が創業した紙の卸売りの会社です。印刷業は東京の地場産業です。京橋、八丁堀、新川、明石町は中小の印刷業が多い地区でしたので、紙屋をやるにはゴールデン・テリトリーでした。昔はデリバリーしていたのではなく、中小の印刷業者が大八車を引いて紙屋に買いに来ていました。昭和57年3月からIBMの特約店になり、コンピュータのハードとソフトを販売する事業もしています。最初の特約店は全国に15社でしたが、その1社として京橋のぬ利彦さんとともに選ばれ、総合商社から酒、紙問屋までと紹介されました。

紙の需要はいかがですか。

中小印刷会社の全国組合の数字で見ますと過去15年の間に印刷会社は53%減っています。それに関連する紙の卸売りも50%減少しています。いちばん減っているのは新聞・雑誌、オフィスで使用する事務用の帳票などです。銀行のATM化も進んでいます。ただ印刷会社を通らない印刷物としてパソコンのプリントアウトの用紙、印刷がかからない紙 (ティッシュペーパー、トイレットペーパー) は減っていません。通販が増え、段ボールの需要は増えています。今後は「そんな紙があるのか」「そんなこともできるのか」というような紙を提供していきたいと考えています。

例えばどのような紙でしょうか。

明治42年に創業した時から昭和20年まで和紙専業でやっていました。洋紙を扱うようになったのは終戦後です。現在は99%洋紙ですが、和紙は日本の伝統文化です。手すきの紙で機能性があり、まだ産業として根付いているのは日本ぐらいです。古くて新しい素材として和紙をもう一度見直してやっていこうと思っています。紙は素材であり、何に使うかは使う人の自由です。50万円もする大判の和紙を切ってコースターに仕立てて出しているバーがあります。また外資系企業の東京オフィスに和風のタペストリーやパーテーションとして採用されています。

現在の京橋をどのような感じていますか。

よき京橋を知っているわけではありませんが、京橋1丁目の空き地にサーカスが来たなど、のどかな話を聞いたことがあります。すし屋やとんかつ屋などの飲食店が多く、三味線を修理する店もあって、都心のど真ん中というよりは人の生活のにおいがする下町情緒が残っていたという記憶もあります。その京橋は再開発され、生活のにおいのする町から完全にビジネス街に変わってきました。私も東京でビジネスをやっていますから、この動きを肯定している部分と少しさみしいと感じる部分が同居しています。

(写真上 : 越前和紙のタペストリー)

吉川 正悟 (よしかわ せいご)
吉川紙商事株式会社
代表取締役社長
吉川紙商事株式会社 WEBサイト

佐野 武彦さん

構成
中崎 隆司(なかさき たかし)
建築ジャーナリスト

中崎 隆司